院長BLOG

矯正治療の保定とは17.10.30

保定とは、歯科矯正用語の1つです。


歯科矯正には、大きく分けて動的処置と静的処置があります。


動的処置は、歯に装置を付けて歯を動かすことです。
静的処置は、動的処置が終わった後に、動かした歯が戻らないように押さえておくことです。


一般的に歯科矯正と聞くと動的処置に目が行ってしまいますが、動かした歯が戻ってしまっては元も子もなくなってしまいます。戻らないようにすることも非常に重要です。


矯正した歯はなぜ戻るのでしょう?矯正していない歯はなぜ動かないのでしょう?


保定には、自然保定と機械的保定があります。これらの説明をする前に、歯はなぜその場所にあるか?について考えてみましょう。


上下的な抑えは、上下の歯の噛むことにより上下に出てゆくことを防いでいます。舌側と頬側(臼歯部)舌側と唇側(前歯)の傾斜を防いでいるものは、舌側は舌の圧力外側は頬の筋肉や唇の筋肉により均衡が保たれています。前後については、前後の歯がお互いに支えあっています。そのため、上下の歯列はきれいなU字形をしていることが必要です。ガタガタした歯列の場合、隣の歯同士が支えあえなくなってしまいます。このように、歯の萌出部位に筋肉が順応しバランスが取れるところで歯が収まっている状態が矯正をしていない人々の歯の位置です。子供の時から長い時間をかけて出来た歯並びです。つまり、バランスのとれた状態です。
これが自然保定です。自然保定とはいいながら、一生この状態を保てるかというと、そうではありません。歯も生きている限り動いています。例えば虫歯で隣の歯と接触している面に隙間ができた場合、後ろの歯は前によってきます。その結果上あるいは下の歯との咬合がずれてきます。このずれは、いずれ歯列全体に変化を起こします。歯並びが悪くなり、かみ合わせも悪くなります。早期の虫歯治療が必要ということです。


歯科矯正を行った場合、より良いかみ合わせを作ることになりますが、今までの口腔内のバランスを崩すことになります。そのため、矯正後歯はあともどりをはじめます。それを防ぐために保定装置が必要になります。保定装置にて、動かした歯をその位置にとどめておくことが新たなバランスを作る第一歩となります。長期にわたって使用することが徐々に安定した環境に近づくことになります。より長い保定装置の使用が必要です。これが機械的保定です。このように、静的処置としての、保定の重要性がわかっていただけたかなと思います。


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この装置は保定装置の1つです。入れ歯のように見えますが、歯は自分の歯です。
(上と下の写真))

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これは、マウスピース型の保定装置です。上下で軽くかんで歯を維持します。
(下の2枚の写真)

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