外科矯正とは
外科矯正とは、矯正治療単独では十分な歯列・咬合を実現することが困難な場合に、外科処置を併用する専門的な矯正治療法です。顎変形症と診断された患者様に対して行われる治療で、歯並びの改善だけでなく、顎の骨格バランスを根本的に改善し、同時に顔貌・輪郭の美的改善も実現できる画期的な治療方法です。
顎変形症とは
顎変形症は、上顎骨または下顎骨、あるいは両方の大きさや形・位置などの異常により、顎顔面の形態的異常と咬合の異常をきたす病気です。単なる歯並びの問題ではなく、顎の骨格そのものに原因がある状態を指します。
外科矯正の適応症例
以下のような症状がある場合、外科矯正の適応となる可能性があります。
骨格的な不正咬合
- 反対咬合(受け口)下顎が上顎より前方に位置している状態
- 上顎前突(出っ歯)上顎が下顎より大きく前方に突出している状態
- 開咬奥歯を噛んでも前歯が噛み合わない状態
- 顔面非対称左右の顎の大きさや位置にずれがある状態
機能的な問題
- 咀嚼機能の障害(うまく噛めない)
- 嚥下機能の障害(飲み込みにくい)
- 発音障害(話しづらい)
- 口唇閉鎖不全(口が閉じにくい)
外科矯正の治療の流れ
- 矯正初診現在の歯並び、顎の状態を確認し、適応かどうかの説明を行います。
- 外科初診外科初診を受けていただきます。そこの問診にて外科手術に対し問題がないかどうかを診断いたします。
- 手術前矯正手術後に理想的な咬み合わせを実現するため、事前に歯列を整える矯正治療を行います。上下顎それぞれの歯並びを調整し、手術時に最適な状態にします。
- 手術前外科再診術前矯正の完了確認、手術に向けた最終的な準備、手術用装置の作製を行います。
- 手術手術になります。3~6時間程度かかります。
- 流動食への移行状態が良ければ翌日か翌々日から流動食になります。
- 退院1~2週間後に退院となります。
- 手術後矯正上下の顎の関係が正しい位置になったところで、個々の歯の関係をよりよくするため歯科矯正をします。新たな顎の位置の筋肉を順応させる目的もあります。
外科矯正のメリット
機能面での改善
- 咀嚼機能の向上食べ物をしっかりと噛めるようになります
- 発音の改善明瞭な発音が可能になります
- 嚥下機能の改善飲み込みやすくなります
- 呼吸機能の改善鼻呼吸がしやすくなる場合があります
審美面での改善
- フェイスラインの改善美しい輪郭が得られます
- コンプレックスの解消長年のお悩みから解放されます
長期的な健康面でのメリット
- 虫歯・歯周病の予防歯磨きしやすくなり、口腔環境が改善されます
- 顎関節への負担軽減正しい咬み合わせにより顎関節症のリスクが減少します
外科矯正のリスク・デメリット
手術に伴うリスク
- 全身麻酔のリスク
- 手術による腫れや痛み
- 感覚麻痺(一時的または永続的)
- 出血や感染のリスク
治療期間・費用
- 総治療期間が3~5年と長期間になります
- 入院が必要となります
- 保険適用でも一定の費用負担があります
健康保険の適用について
保険適用の条件
顎変形症と診断され、認可された医療機関(顎口腔機能診断施設)での治療の場合、健康保険が適用されます。
費用の目安
矯正治療費 | 約20~30万円(保険適用時の自己負担) |
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手術費用 | 約40万円(保険適用時の自己負担) |
※高額療養費制度の適用により、限度額を超えた分は払い戻しされます。
よくあるご質問
Q.手術は痛いですか?
A. 全身麻酔下で行われるため、手術中の痛みはありません。術後の痛みは適切な疼痛管理により軽減されます。
Q.仕事への影響は?
A. 手術後1~2週間の入院が必要で、その後も腫れが引くまで数週間かかります。デスクワークであれば比較的早期の復帰が可能です。
Q.年齢制限はありますか?
A. 顎の成長が終了する年齢(男性17~19歳、女性16~18歳)以降が手術の適応時期となります。
外科矯正をお考えの方へ
外科矯正は、単なる歯並びの改善を超えて、機能的・審美的な大幅な改善が期待できる治療法です。しかし、手術を伴う治療であるため、十分な検討と理解が必要です。
市川市のアイアイ矯正歯科では、外科矯正に関する詳細なご相談を承っております。お一人で悩まずに、まずは専門医にご相談ください。患者様の症状やご希望に応じて、最適な治療方針をご提案いたします。