院長BLOG

口蓋裂の不正咬合17.08.25

口蓋裂の不正咬合

口蓋裂の不正咬合

口蓋裂患者さんの上顎は、狭く歯が上顎の内側にいろいろなところから歯が萌えています。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
大きな原因の1つは上顎の内側の粘膜を左右より引っ張り、口蓋裂の閉鎖を行うことです。では、口蓋の閉鎖を辞めたらどうでしょうか?
鼻と口がつながった状態です。ある低開発国において、その国でももっと奥地にはいった医療の届かない地域において、口蓋の閉鎖をしないまま成人になった症例があったと報告がされています。それらの症例は、ほとんど成長に問題がなく、また歯も普通に萌えていたということでした。つまり、口蓋の閉鎖手術が上顎骨の成長発育に大きな影響を及ぼしていたことがわかります。
しかし、これは良く今まで生きてこられたという状態に思えます。生まれてきた赤ちゃんは、普通母親のお乳を飲みます。お乳を飲むとき口の中を陰圧にして食道へと流れてゆきます。口蓋裂は、口と鼻がつながってしまうため、飲み込む際の口の中を陰圧にすることができません。飲み込めないということです。栄養が取れず生命の維持も難しくなってしまいます。未手術の方が、どのように栄養を取ってきたかはわかりませんが、本当によく生きてきたといえます。奇跡に近いものがあります。
そのようなことにならないために、口と鼻を分ける手術が必要となります。昔のこの口蓋閉鎖手術は、単純に左右の口蓋粘膜を寄せて縫うだけのものでした。そのため、上顎骨の成長が大きく妨げられ、下顎骨は正常な成長をするために上下顎骨の成長に大きなギャップが生じてきます。この結果、受け口(反対咬合)になってしまいます。また前後左右の口蓋が成長による拡大があまりないので、歯の萌出する場所もなく全く異なる場所に萌えてきます。そこで、形成外科や口腔外科(口蓋裂の手術は主にこの2科が行っています)が、上顎の成長抑制を生じさせない、手術法を考え、臨床に応用しています。手術法の改善は徐々に良くなっています。理想は、歯科矯正医が普通の患者さんを治療するように、口蓋裂患者さんを治療できることです。

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